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木の洞にひとりごと うろ覚えのうんちく うろうろと右往左往
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shin
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義母が北海道に行った。
向こうで頼んできたカニが届くからと電話があった。
旦那が取りに行く。
幸いな事に実家から貰ってきた御園座のチケットが手元にあった。
顔見世興行の招待券みたいなの。
義母に訊いたら行きたいと言うので持って行く。

カニが大好きな息子はそわそわと待っている。
娘は夜10時まで戻らない予定だ。
「勇気があるなら全部喰ってもいいぞ」
「あるわけないじゃん…」

私は食べない。
面倒。
食べられないほど嫌いじゃないけど好きでもない。
泣きそうなほど好きな人間が家に三人もいるのに食べる必要がない。
頬張って「甘いー」とか「うまいー」と悶絶しているのを
動物園みたく傍観している方が愉しい。

床に転がっていたら旦那が「ほれほれ」と身のかたまりを持ってくる。
だから要らないんだってば。おいしいとは思わないんだもの。
旦那にしてみれば こんなにおいしいものが食べたくない筈がない
遠慮しているんだとか味を知らないだけだとか思ってるんだろうが
一口食べてみたけど別になんとも感じない。

後から娘にその話をしたら「こんなおいしいものを人にやる気が知れん」だと。


カニといえば思い出す。
娘がまだ二歳か三歳くらいの時のこと。
近所の人に毛がにを貰った。
娘を寝つかせてから旦那が食べ始めた。
一度寝たら起きる事のなかった娘がなぜか寝室から出てくる。

私は慌てて敷いていた新聞紙でカニの殻を包み
旦那はアメフトの選手のように娘を抱え上げ寝室へ走る。

殻の様子から大方食べ終わっていると判断した私は
そのままゴミ箱に持っていった。
娘をねつかせ出て来た旦那はそれを聞いて怒り狂った。
「まだ身が残っていた!」
そんな風に激昂する旦那を私は見た事がない。
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