娘の友達が娘の弁当箱に卵巻きがあると毎回欲しがると言う。
以前にほうれん草入り卵巻きを食べて余程おいしかったらしく
ピーマン入りとかでも何でも全部食べるらしい。
これまで卵巻きを誉められた事ってないから彼女の舌が特別なのだろう。
でも作る側としてはものすっご嬉しい。
卵巻きの頻度は増えるし、巻き方も自然丁寧になる。
現金だなあと思う。でもそんな些細な事で人間て優しくもなれるし幸せにもなれるんだ。
食べ物に限らず、手作りのものを誉められるのって嬉しい。
欲しいって言ってもらえると嬉しくなる。
手作りは所詮自己満足に過ぎないから押し付けられないけど
欲しいって言ってくれるなら幾らでもあげたい。
「欲しい」って一番の誉め言葉だよね。
「上手だね」とか「いいね」ってのは社交辞令で言えるけど
「私も欲しい」っていうのは心底それがいいと思うから言うんだよね。
作ったものを「おいしい」って言ってくれるのは請求なんかじゃないよね。
おかわりしていい？とか余ったなら持って帰っていい？ってのは
本当の誉め言葉だよね。
嬉しくなって家の分まであげちゃう。貰ってくれてありがとうな気分。
んでも、そう思えるのは自分に自信がないからなのかなとも思う。
人によっては「図々しい」とか「施してやった」って感じるのかも知れない。
それはそれで寂しいことだろうとも思うけど
うっかりこういう人に自分と同じ感覚を求めて
「おいしいね」って全部平らげたり、「この前貰ったの すごく重宝してる」なんて
言ったりしちゃ駄目なんだ。
いや。本当にそうなら心から誉めればいいんだけど
相手の気持ちを慮って気遣ってそう言った挙句蔑まれたんじゃ割に合わない。
なーんて思うのは母親が私と違うタイプだからさ。
んでも不幸だと思うけどなあ。
自分がしてあげられる事を相手が喜んでくれた時
「してあげた」事より「喜んでくれた」事の方が重要って思えないなんて。
娘の友達に会ったら「卵巻き おいしいって食べてくれてありがとう」って言いたい。
友達の弁当箱からねだる、その無邪気さも愛しい。
きっといい家庭に育っているんだろうな。
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