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木の洞にひとりごと うろ覚えのうんちく うろうろと右往左往
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夏がくーれば思い出す というわけでもないが。
子供に寄り道の話をしていて学園祭準備の記憶が次々と蘇った。

学校近くにしょぼいアイスクリーム屋さんがあって
原則許可証ナシの寄り道は禁止されていた私たちにとって
そこでアイスを食べるのがささやかな楽しみであった。
普段はそんな事すらさえしないのだが、
学園祭準備で夏休み中に登校した時だけは特別だった。

「そこを出て先生の姿を見つけてさ。
慌てて逃げ出したわけよ。でも段ボールが邪魔でうまく走れなくって」

ここで「段ボール? なんで?」と訊き返された。
「予算がないから 段ボールであれこれ作ったんだよ。
そのために近くの商店を『段ボールありませんか』って回って歩いたんだ」
学園祭準備が始まると、特に展示をやるクラスの生徒は一斉に町に出る。
学校の近くの店なんて知れているから隣の駅まで出張る。
大きくて新しくて紙質のいい段ボールをゲットするとそれだけで嬉しかった。
手当たり次第で野菜や果物でつかった、ちょっとしなしなのでも貰ってきた。

……世間では当時お嬢さま学校と呼ばれていた(らしい)。
青いセーラー服を来た可憐(?)なお嬢様(?)が段ボールを抱えて歩くわけだ。

「だから予算がなかったんだって! 補助は5000円とかで集金も上限が決まっていて」

伝説は段ボール集めだけじゃない。
トイレットペーパー争奪というのもある。
「トイレットペーパーなんか なんに使うんだ」と旦那が訊く。知らないのか!
「水に浸して そこに洗濯糊を入れて 紙粘土を作るんだよ」
しかし学校側としてもトイレからペーパーを持ち去られるのは困る。禁止である。
見つかったら怒られる。
そこで私は考えた。
芯を抜いて押し潰して股にはさんでスカートで隠して運ぶ。

……くどいようだが、青い天使とさえ呼ばれた女学生である。

「絵の具も足りなくってさあ。搾り出すどころか 切り開いて使ったんだよ。
予算の余ってるクラスの噂をきいて ゴミ箱を漁りに行った事もある」
持ち帰ったそれを「こんなに入ってるのに捨てるなんてね」と言いながら
切って開いて筆でこそげて。
次の日また漁りに行ったら、そこのクラスの女の子が
私の手にそっとポスターカラーの瓶を握らせてくれた。

ああ。やっと心温まる画になった。

お金がないゆえの苦労はまだまだある。
演劇の年だった。
設計した大道具が予算不足で作れないと分かり、
かわりにB紙を貼り繋いでそこに画を描くことにした。
温室の木枠を「遠近法を使うからね」と
50センチ物差しを持った生徒に言った。

机の上の画用紙になら遠近法を使うのなんて簡単である。
一点でも二点でも、そこに定規を当てて線を引くだけである。
だがそれを教室半分の紙の上で、50センチ物差しでやろうとしたら
……気が遠くなる作業だった。

小道具に植木蜂が欲しかったが、無論そんなお金はない。
近くの生徒に持って来てもらう他、
魚屋の娘がいたから木箱を持って来てもらって土と雑草を植える事にした。
その箱が魚臭かった。洗っても洗っても臭かった。

そんな苦労をして作り上げた劇は
「温室」で分かる人には分かって貰える、
某男子校を舞台にしたマンガを原作とした話である。

14歳の女子校生に14歳の少年の役を演じさせる。

…苦労しただけの甲斐はあったかも知れない。
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