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木の洞にひとりごと うろ覚えのうんちく うろうろと右往左往
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親に抗議した事は殆どなかった。
だから今回の件で親は「子供にこんな仕打ちされるなんて」と嘆く。
でもあれくらいの言い合い、私と娘の間に何回もあった。
娘が不満をぶちまけ、こちらは言い訳と謝罪を返す。
敢えて和解めいた事はしないけど、半日もすればいつもどおり。
子供は言いたい事を親に言う。それが正当な言い分かどうかは親が判断する。

最後の入院の時。
姉は年末年始に家に帰りたいと言った。帰宅して家のお風呂に入りたいと。
自分の部屋にコンロを持ち込んで家族団欒の食事をしたいと。
看護婦達は無理だと言う中、若い主治医は懸命に手配してくれた。

姉は家に帰ったが、希望した事は何れも実現しなかった。
些細な事で私が父親を怒らせてしまい、最初の食事は台無しになった。
その夜風呂の用意をしたが、一番に入った父親は故意かうっかりかで栓を抜いてしまった。
それきり母親は風呂を焚こうとしない。
今にして思えば30分もあれば充分沸かし直す事は出来た。
どうして母親はそれをしなかったのだろう。
そしてどうして私はそれを要求するなり自分でやるなりしなかったのだろう。
姉を入浴させる労を厭ったわけでは決してない。にも関わらず。

そして三が日の間も姉は入浴しなかった。
父も母もどこかに出かけてしまって、食事も何を食べたかよく覚えていない。
どうして私はふたりに訴えなかったのだろう。
どうして姉は私や両親に要求しなかったのだろう。
姉は諦めてしまったのだろうか。
そして私もそれが本来の姉にとっての家族だと
(姉もまた健康な間 好き勝手に過ごしたいたのだから)
姉の最後の願い、最後の賭けに気づかずにいたのか。
自分が両親に何かを訴えても無駄だと諦めるより深く思い込んでいたのか。

最後の一ヶ月を病室に泊まりこんで過ごし
姉に笑顔を取り戻させてそれで妹としての役は果たしたと思っているけれど
今になってあの四日間が悲しくてならない。

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