出発の直前、何気に「クレジットカードは持ったよね?」と訊いた。
当然「入れた」という答えが返ってくるものと思っていたら
娘は無言のまま自分の部屋に行った。
一枚のカードを手に「これだよね」と出てくる。
……お前 私が訊かなかったら置いていくつもりだったんかい。
外国に行くというのに何故かあまり不安を抱いていなかったが
この瞬間に急に怖くなった。いいのか? 本当にこいつを行かせていいのか?
旦那と息子の誕生日が近い。
娘にプレゼントを買ってくるように先日言い渡した。
「お父さんには分かるけどさあ なんであいつまで」とぶつくさ言いながら
弟に服を買って来た。父親には何がいいかと訊くので
いつもポロシャツでは芸がないから「ヘッドフォンは?」と提案する。
以前に100円ショップで嬉しそうに買って来たのを思い出したから。
もうちょっといいやつ使わせてあげたいじゃんね。
プレゼントを受け取った息子は
姉が出発する前の日、デザートを買って来た。
皆でそれを食べた。
娘を送り出した後、旦那はヘッドフォンを試して「違うもんだな」と言った。
日頃が日頃だからちょっとした事で男どもは感動する。
空港への見送りはパス。
荷物もちについていく覚悟はある程度はあったが
奇特なお人が見送りにいってくれるというので
駅まで車で送っていっただけ。
「ふつー 親が行かないか?」と息子は言った。
玄関で見送るも空港で見送るもたいして変わらん。
私はもうやれる事はやった。最後の最後にクレジットカードも持たせたしの。
あとは無事到着の報を待つだけ。
「単位も大事だけど 愉しまなきゃ駄目だよ。
無理はいかんよ 続かんから」 そう言って別れた
ところで終ればいい話にもなりそうだが
その後娘の部屋の掃除をして私のメイク道具がない事に気づく。
日本を離れる娘と最後にした会話(息子の携帯で)が
「私のシャドウ 持って行ったな!」というのはあまりに格好が悪い。
格好悪いといえば 話は全然違うが
接骨院に行く前に脚がかゆくてぼりぼり掻いた。
マッサージの最中先生の手が止まったと思ったら
その場所に消毒薬を塗られていた。「いでえ」
起き上がった時に「すいません 先ほど掻き毟りました」とお礼を言う。
「かゆいの我慢できないものねー」と返された。
娘にその話をしたら「何歳?」と呆れられた。
今日もまた脚を掻いてしまった。夕方までに何とかせんといかん。
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