子供の頃から母親に
「根気がない」「根性がない」「出来が悪い」「みっともない」
と言われ続けた。
素直(単純ともいう)な子供だったから、ああそうかと思い
かといって悩むわけでもなく現実逃避だけが上手になっていった。
子を持って
「根性がない」以外の部分は全部「違うやんか!」と分かった。
1年生は100点であたりまえ、小学校の通知表は5があってあたりまえ、
原稿用紙を文字でびっしり埋められるのはあたりまえ
と思い込んでいた私は、バカな子供達のおかげで目が覚めた。
1年生の娘が55点の答案を持ち帰った時は無茶苦茶ショックだったが
しかしそういう事もありうるのだと知った。
その点はこいつらに感謝してる。私はお前らよりは賢かったぜ!
子供時代の写真だってあんたらよりは可愛かったぜ。
母親が私に植え付けたコンプレックスに根拠はなかった(ゆえに解消されないんだが)。
だがその中で、「根性がない」だけは当たってる。
戦地や収容所で真っ先に死ぬタイプだと思う。
でもとりあえず学校を卒業して子育てもなんとか乗り越えたんだから
平均からかけ離れているわけじゃないよなあとも思う。
だから敢えて言う。
「必ず復興出来ます なんて言わないで。
明日に向かって歩き出そう なんて言わないで。
応援してるから 一緒に頑張ろう なんて言わないで」
前にもちらと書いたけど
台風や震災を乗り越えた人たちに
「だから 東北もきっと蘇る」と言われるのはきついんじゃないか。
がれきの中から立ち上がる人たちはすごい。
陸に大型の船が乗り上げているのを見て、私が絶望的になっているのに
現地の人が先の事を考え始めているのは本当にすごいと思う。
嬉しくもあるし、安心も貰えた。
でも。
まだ現実を受け容れられず、ちょうど体調も崩す頃で
もう少し悲嘆の中にいたい人もいると思うんだ。
それは決して少数じゃないと思うんだ。
既に頑張っている人にもう励ましは要らない。
他人が応援しなくても、そういう人は進んでいける。
でもまだ動き出す気力も勇気もない人に
悪意ではないにしても「日本中 世界中が応援してるよ」と言うのは
酷な気がしてきた。
「冷静な日本人」「我慢強い東北人」「不屈の精神」なんて
外国からも賞賛されて、私としては誇らしかったけれど
段々そういうのも重荷になってきたんじゃないだろうか。
弱音も吐けない。
八つ当たりも出来ない。
こんな風に思うのは私が根性なしだからなんだけど
でも皆が皆根性あるわけじゃないと思う。
もう暫く泣いていてもいいんじゃないかなあ。
小学校に避難している人たちが
授業の開始と共に移動を迫られている。
行き場がないからそこにいるのに。
その人たちは復興からまだ遠くにいる。
始業という動き始めた時間に居場所から追い遣られようとしている。
仕方のない事なんだけど(子供達には学ぶ権利がある)
でもいつだって置き去りにされるのは弱者なんだ。
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